打ち合わせで人手不足に悩むおじさんの話を聞きました。
『高齢化が進んでおり人手不足、でも産業を終わらせるわけにはいかない、後世に残すためにも補助金を利用して若い人を雇用しよう』という内容でした。
そこでおじさんは、このような話をしていました。
『若い人たちはどこにいるんだろう、どうしたら働いてくれるんだろう』
『若い人たちは最近車に乗りたがらなくなったよね、俺達の頃は車買いたくてしかたなかったのに』
『最近の若い人は、稼ぎたいというよりも休みがちゃんとあって休みの日も充実させるとか、安定志向の人が多いですよね』
私が考えたことは、自分たちの世代と比べて『若い人たちは』とひとくくりに言われても、そもそも育った時代背景も違うので、考え方の傾向も違って当たり前ですよねということです。
車の話であれば、おじさん世代は車がない時代からある時代への過渡期を迎え、新しいものに飛びついたという感覚なのではないかと思います。
(私もおじさん世代を過ごしたわけではないので、あくまで想像です。)
比べて若者と言われた20代からすると、車の技術が当たり前、モデルチェンジなどの変化はあっても特に目新しいものでもない、都会で生活していれば必要でもないし、車が好きな人はこだわるものという認識です。
世代間の車の認識で大きく違うところは、新しい技術か、それとも元々あった技術なのかというところだと思います。
そのような時代背景が想像できないんだろうなと思いました。
次の『最近の若者は休みを充実させる、安定志向が多い』というところも同じような話で、まずは稼ぎたいという人もいるし、ブラック企業ぎりぎりの会社で働いている人もいるし、若者ひとくくりで考えるより人それぞれではないかと思いました。
その上で、なぜそのような発言になったのか考えると、おじさん世代では、戦後の貧しい時代を経験したか両親からその話を聞くことが多かったため、『お金があって好きなものを買えれば幸せになれる』という考えが強かったと思います。
だから、たくさん働いて稼ごうと思う人が多かったし、景気もよくなる一方だったことから、働いた分だけ稼ぐことができモチベーションに繋がっていたのではないかという想像をしています。
一方、若者世代は好景気をほとんど経験していません。
若者世代は、おじさん世代が引退して退職金をもらっても仕事というやりがいをなくしてしまったり、孤独死という問題があったりする状況を目の当たりにしました。
さとり世代と言われる所以のひとつかもしれませんが、お金や物質を求めて必死に働いていたおじさん世代が幸せになっている姿をあまり見ていないため、本当に働いてお金を稼ぐことが自分にとっての幸せなのか考える人は多いと思います。
若者世代にとって悲しいところは、おじさん世代と違い、社会の流れに沿っていい大学にでて、いい企業に勤めて退職金をもらえば幸せになれる、老後も生活していけるという保証がなくなってしまいました。
運良くその流れで一生安泰で過ごせる若者もいるかもしれませんが、大企業も潰れてしまう現在では一生面倒見てくれる会社は、ほんの一握りかと思います。
そのため、自分が入社した企業の終身雇用を信じるのか、会社を立ち上げるのか、スキルを身に着けて転職できるようにするのか、お金は諦めて余暇を充実させるのかなど、社会の流れに沿っていても老後まで安心して過ごせるかわからない現在では、ひとりひとりが考えて行動しないといけないのかもしれません。
お金や物を手に入れれば幸せになると思い頑張ったおじさん世代と、頑張っても景気がよくならずお金や物が手に入りにくく、またおじさん世代の引退後や孤独死問題を目の当たりにした若者世代、考え方が違って当たり前ではないでしょうか。
『若い人たちは違うよね』と言っているだけでは、若い人の雇用は難しいのではないかなと思いました。